2011.09号
特集:富士山とライブへ赤カブで

 夏期休暇ってもんが1日残っていた。
 使わないと消えてしまう。休みも思いっきらないとなかなかね〜。
 そうだっ!くさっている時は富士山見てすっきりしましょ。
 しかーし、天候が前線の停滞で不安定。おまけに1日前には静岡で豪雨による災害もおきてた。天気予報を見ると、西の方が天気が良いので、しまなみ街道にしようかなと、出発前ぎりぎりまで思ってた。
 でも、なーんか、やっぱり「富士山っ!」、雨でも見えなくても、とりあえず行ってみよう。


【1日目】
 準備して、家を出たのがAM0時。車に赤カブを積んで高速道路を東へと向かう。赤カブは普段は通勤&仕事に大活躍。あまり郊外へは出ない。今回ゆがんだフロントフォークを交換してフロントまわりをリフレッシュ。たまには、自然の中を走らせてあげよう。
 夜の高速道路は好きです。音楽を大音量で聞きながら、淡々と走る。暗闇の中は距離感も麻痺して、長距離もそれほど苦にならない。軽1BOX4WDターボは普通に走るぶんには、何の支障もなく高速道路の流れにのれる。どこだったか?1時間ほど仮眠して、夜明けのころには静岡に。


 高速道路からも迫力ある富士山が望めた。下りてからもずーっと富士山を眺めながら本栖を目指す。
 やっぱりすごい富士山!理屈無し。拝みたくなる存在感。
 これで十分満足。来たかいがあった。
 今日の天気予報は午前中は大丈夫。少しの睡眠時間で勝負かけて良かった。
 今回の旅の目的はほぼ達成したようなもん。あとは、天気悪くてもええか。
 

 宿泊地の本栖湖のキャンプ場に到着。1000円札の裏の柄の風景。
 平日だから、キャンプしている人もまばら。
 ええっすね〜。雲が多いけど最高のロケーションですわ。
 赤カブを車から出して、雨が降り出す前に散歩しましょ。


 富士五湖巡り!先ずは精進湖。池の大きいのだな。なかなか静かなところ。
 カブのいいところは、風景見ながらぶらぶらできる。あっ!と思う風景というのは、瞬間に出てきて過ぎ去っていく。そんなときに、くるりとUターンしてじっくりとその風景を楽しんで写真を撮れる。
 富士山周辺はビックバイクでバビューンと駆け抜けるのが気持ちよさそうだけど、走ってしまうとなかなか停止するのが億劫になってくる。
 その点カブは、ライディングの醍醐味は無いけど、そういった止まる行為が苦にならないから、風光明媚なところでは天下無敵の旅バイクなのである。

 続いて西湖。本栖・精進・西湖はもとはひとつだったとか。それが富士山の噴火で分断されて三つの湖になった。地下ではつながっているという話である。複雑な形もその火山活動でできたものなんだろう。そこらじゅうに溶岩が露出している。
 青空がちょっと怪しくなってきた。黒い雲が迫ってきている。先を急ごう。

 河口湖です。やばいっしょ雲行きが・・・。一周するつもりだったけど、雨に降られるのが嫌なので、買い出しして帰ることに。
 パラパラパラパラ。大粒の雨が降ってきた。カッパを来て近くのイオンまで。
 寝てないので、ちょっとくったり来てるな。水分補給。買い物しているうちに雨はやんで、キャンプ場に急ぐ。

 
 
 ここが、青木ヶ原樹海か〜。富士山麓に広がるうっそうとした大樹海。ちょっと覗いてみたけど、人を寄せ付けないなんだかわからない入り組んだ森。
 イメージとは怖いもので、警察番組か心霊番組が頭に浮かぶ。植え付けられた洗脳されているようなイメージ。完全色眼鏡で見てるやん自分。看板だけでも怖い字に見えてくるから、先入観には困ったもんだ。

 

 なんとか雨はキャンプ場までは降らなくてすんだ。先に風呂を入っておいて、しばらくしたら大雨が〜。タープを張っておいて良かった。晩飯を作りながら、湖面を眺める。雲の変化がおどろおどろしい。完全モノクロームの世界が広がって行く。
 管理人のおじいさんが話しをしてくる。「これで(赤カブ)京都から来たのか?」いやいや・・・。ここの場所が富士五湖で一番いい場所や!と断言された。
 確かに、少し富士五湖を巡ったけど、ここのロケーションに勝るところはなかった。そこでテントはって眺める贅沢。
 「でも夏は雲多くて富士山見るにはダメだな」なるほど〜。一番いいのは5月で湖面な凪いで雪をたたえた富士山が映り込むらしい。その時期に来てみたい。

 
 
【2日目】
 涼しくて快眠の朝。今日は予定では、富士山5合目へ行く予定だったけど、甲府へ行くことになった。
 気温21度のツーリング温度。甲府までは30キロぐらい。ええどーハイアベレージなワインディングを75CCエンジン全開で走る。やっぱ4速エンジンは上り坂で有利だな。

 
 
 甲府盆地へ下りてきたら、めちゃ暑い。湿気の多い、京都に似た空気感かな。
 甲府駅に赤カブを駐輪。何の違和感もなく駐輪場にたたずむ赤カブ。違和感があるのは京都市ナンバーだけ。そんな溶け込み具合にほれぼれする親バカカブ乗り。
 甲府といえば風林火山!武田信玄。

 
  
 甲府へは何しに来たかというと、なんとTHE BOOMの野外ライブ!
 まったく予定外のライブ。関東の友人から情報をいただいた。甲府ってのがどこだかイマイチわかってなかったのだけど、地図見たら本栖湖のすぐ上ですやん。なんという偶然。もしかしたら、このライブに来るために富士山にやってきたんじゃないかと思えるぐらいの不思議さだった。
 このライブは、THE BOOMが震災のチャリティーでやった。無料にしてグッズを販売して、それを義援金にしようというもの。いいぞ〜男前!
 
 しょっぱな♪風になりたい♪がはじまったときは、鳥肌もんだった。駅前の城公園。老若男女、いろんな人が集まっている。前の子どもなんか後ろ向いてマクドナルド食べてた(笑)。この間口の広い感じがたまらなくいい!
 おっさんもノリノリで自然と踊ってしまった〜。セミの鳴き声・風が吹いて、MIYAの歌声、身体に響く演奏!空を眺めたら、あー生きてる感じがする♪
 なかなか思うようにならない世知辛い世の中。元気100倍になれる。
 ありがとう!
(上の写真は知事が出てきて、観光大使任命式となり、記念撮影。ライブ会場で写真を撮れるとは!)

 
 
 ライブが終わり余韻をまったりと過ごしていると、すっかり日が落ちてた。さあ、帰ろう・・・キャンプ場へ(笑)
 甲府市内を地元民のように赤カブで走る。えーっと、なんか変な錯覚がおきる。なぜか国道171の高槻付近を走っているような気分。
 信号に止まったら「ほうとう」の看板。ここはどこ?わたしはだれ?予定外のライブは、夢見心地の現実逃避。
 あらら・・・キャンプ場はどーやって帰るんだろ。方向音痴のワタクシ。こんなときは、iPhoneのナビが強い味方。


 精進の標識を見つけて、山を上って行く。
 甲府市内は熱気さめやらぬ感じだったけど、山に入ると涼しい通り越してTシャツ1枚では寒いぐらい。夜景を見ると、ここはやっぱり知らない町だなと再認識した。

 明かりが無くなると真っ暗な山道。赤カブのヘッドライトの能力じゃー到底追いつかない暗闇。
 峠を越えると、精進湖になり・・・あー樹海やん。怖すぎ〜。お化けよりも、人が歩いてたらどうしようなんて考えると、さらに寒くなる。
 気合いを入れてライディング。真っ暗な本栖湖に、点々とキャンプ場の明かりが見えてきたら、ほっとした。
 
 キャンプ場で貸し切り状態のお風呂がとても気持ちよく、今日のライブのことを振り返る。いつも計画通りに段取りしながら生きてる毎日だけど、何かの力が働いて導かれているようなできごとだった。

 【3日目】
 夜は雨が降ってた。朝目覚めてテントから這い出ると、とても幻想的な風景が広がってた。黒い雲が低く垂れ込め、その向こうに富士山の裾。カヌーの人たちが凪いだ湖面を滑るようにパドリングされている。
 この圧縮されたような世界も、現実に今、目の前にある出来事なのだから驚きである。何を信じて信じ切れない内にあるものは、けっこう自分への信頼なのかもしれない。

 
 
 その後、雲はどんどん消えていき、富士山の山頂がちょこっと顔を出した。急いで、赤カブとの記念撮影。
 最初と最後に富士山を望めた。すぐに富士山は雲の中となった。
 カヌーの人たちが話しかけてきた。本栖湖を熱く語るカヌースクールの方。日本でも屈指のカヌー場らしい。流入する河川が無く、富士山の雪解け水が濾過されて湧いてくるので水質は抜群。
 またお気に入りの場所が見つかりました。本栖湖っ!また来るよ。
 赤カブを車に積んで、さあ出発!
 

  どんどん標高を下げて行く。そしたら、白糸の滝。ここ、中学生の修学旅行で来た。うっすらと記憶の片隅にある白糸の滝。けっこう、おおっと思った印象がある。
 大人になった目にはどう映るのか楽しみ。
 そうそうこんなんやった。なかなかの日本離れした感じ。偶然が重なってそういう造形となって、とても素敵なものを見せてくれる。
 
 
 高速道路で一気に京都へ。バイクもこの暑さだからか少なめ。伊勢湾岸線から新名神を走る。あの濃尾平野の一直線がないぶん退屈しなくてすむし、風景に変化があって楽しい。
 横風が強くて、かなりフラフラしてたけど、おかげさまで眠気少なくて良かった。
 まあ、軽自動車でも富士山ぐらいなら楽勝!またカブ積んで高速道路ワープをしたいな。

 富士山にライブ!赤カブで巡る旅は、まだ夢のようである・・・夜に仕事の連絡メールが入って一気に現実に引き戻されたけどね(笑)
 



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